Sunday, October 30, 2016

ブログの開始にあたって

 今、ヴィクトリア朝後期の長篇を訳していて、おそらく来年(2017年)いっぱいこれにかかりっきりになるのではないかと思う。そのあいだ時間を見てメロドラマとミステリをいろいろ読んでみようと思う。前回のブログ「本邦未訳ミステリ百冊を読む」では二十世紀前半に書かれた英語圏の長篇ミステリに作品を限定していたが、メロドラマはフランス革命以後に出てきたジャンルなので、期間は十九世紀はじめから二十世紀前半ころまでと大幅に延ばし、英語圏だけじゃなく日本やフランスなどの作品も扱おうと思う。

 また一応今回のブログタイトルには「メロドラマおよびミステリ」とあるが、そのほかのジャンルもいろいろ読むつもりである。「本邦未訳ミステリ」の最後の十回分を見てもらうとわかるが、私は「探偵」と「事件=ドラマ」の位置関係に興味を持ちだした。いろいろ考えているうちにこの問題がかなり広範囲な射程をもっていることに気づきはじめた。そのためメロドラマでもミステリでもない本が相当数まじると思うが、ご容赦願う。

 「本邦未訳ミステリ」は週に二回くらいのペースでブログを更新したが、今回はじっくり本を読み、時間をかけて考えるつもりなので、ペースは(大西巨人じゃないが)ウルトラ・スローモーになる。そして前回のブログと同じように今回のブログも期間限定である。いま訳している長篇小説が訳し終わったなら、唐突にこのブログは終了することになる。私は一定期間、集中的になにかをすることが好きだが、結論が出ようが出まいが、発見があろうがあるまいが、その一定期間が過ぎたらべつのことをするというのが、自分の精神衛生にとってよいことを知っている。それに思考というものは、その対象をいくら変えても結局はつながってくるものである。